トシシタカレシ。
部長の霧香から始まって、宮、夏梨…
ウチの部活の貴重な男子2人に回ってきた。
「えー吾輩は日比谷 康太(ひびや こうた)です。以上。」
この第一人称が「吾輩」の変わった男子は日比谷。
とにかく変わってる。
2年連続で同じクラスになったんだけど、未だに眼鏡の奥で何考えてんだか、アタシにもよく分からない。
「ほい、次は俺!俺は若草 亮示(わかくさ りょうじ)!8月28日生まれだから、俺の誕生日ん時は皆祝えよ!」
この明るい男子は若草。
少しぽっちゃりめなんだけど、マスコット的存在で、特に女子には優しい。
…次はアタシの番。
「えーと、アタシは木下杏子。ここの演劇部には演技が好きだから入りました。この演劇部は皆が仲良しだから、ぜひ入部して下さい!待ってます!」
アタシにしちゃ、お固めなご挨拶だなって自分で思った。
自分の挨拶はともかく…
一番気になってたのはあの子の事。
恋愛に興味無かったアタシをドキってさせた子。
名前は何て言うんだろう…?
少なからず頭のどこかでは気になってた。
…そしてついにあの子の自己紹介が始まった。