トシシタカレシ。
いつもと変わらない基礎練習やストレッチも終わって、今は休憩時間。
霧香は部長、夏梨は副部長だから先生を呼びに行っちゃっていない。
だからこの休み時間はいつも水筒を飲むか、ボーっとしてるかどっちか。
今日は何か眠いし、机に伏せる事にした。
…
…
「…せ…い」
「…せん…い」
「センパイ…」
「ん…」
「起きて下さい…」
目を開けば、あと30cmの所に神ちゃんの顔がある。
あのパッチリとした垂れ目な顔がこんなに近くに…
心臓が止まりそうになった。
「センパイ起きて…」
いつもより優しい笑顔で神ちゃんは囁くように言った。
神ちゃんの息がアタシの耳にかかる。
「あ、寝ちゃった!今お、起きるね!起こしてくれてありがとう…」
「ハイっ!」
アタシはいつの間にか寝ちゃってたらしい。
アタシを起こしてくれた神ちゃんは何事も無かったように戻っていった。
一瞬、時が止まっていたような感覚になった。
アタシはドキドキしすぎて、友達の話もなかなか頭に入らなくなってた。