トシシタカレシ。
毎日がつまらない。
あの新鮮な気持ちは一体どこに行ったんだろ…
今は2時間目で次の授業は社会。
アタシは社会係だから先生を呼びに行った。
「先生~っ。」
「ああ、木下。この資料集皆に配っておいてくれない?」
「分かりました。」
先生…
さすがにクラス全員分の資料集を女子1人に任せるのはどうかと…
重いし、前は見えずらいし…
階段を上がるのも一苦労。
カタン、カタン。
後ろから誰かの階段を上る音がした。
でもアタシは資料集が重すぎで後ろを振り返られないから、左側に寄った。
「ねぇ。」
…どこかで聞いた事のある低い声だった。
「へ…?誰?」
「誰って…声で分かるっしょ??」
「あっ…竜哉君っ。」
「お前、大変そうだし手伝ってやるよ。」
「え…あ、ありがと…。」
クラスメイトの河上竜哉(かわかみ りゅうや)君だった。
普段は物静かで、女子と話してるイメージは全く無い。
見た目は目がキリってしてて、アタシより背が高い。
「貸して。」
「え?全部持ってくれるの??」
「ったりめーだろ。」
…竜哉君ってこんなに優しかったんだ…。
そっけないけど、竜哉君の優しさが沢山伝わってきた。
傷付いてた心に竜哉君の優しさが染みて、なんだか複雑な気持ちになった。
「じゃ、ここ置いとくから。」
「ありがとう、竜哉君っ!」
「おう。」
この胸の苦しさ。
もう後ろは振り返らない。
アタシは次の恋に1歩踏み出した。