トシシタカレシ。
~杏子side~
「あっれ~?どこ行っちゃったんだろー…」
夏梨と宮と霧香、4人お揃いで買ったクマのキーホルダー。
ものすごく大切なのに…
どっかで落としちゃったみたい…。
今日1日沢山の場所を行き来してたから、どこで落としたかなんて全く分からない。
筆箱に付けてたのが間違いだったかも…
教室。
廊下。
部室。
今日通った記憶の無い場所も全部探したけど、やっぱり見つからない。
「どうしよーっ!!」
見つからなくて、アタシは一旦廊下に座った。
部活も始まってるし、そろそろ行かなきゃ…
…その時。
誰かがアタシの目の前でしゃがみ込んだ。
リンリンっ。
この鈴の音。
クマのキーホルダーに付いてた鈴の音にそっくりだ。
アタシは目の前を見た。
「竜哉…君…」
「落っこってたから俺が貰った。」
竜哉君…
竜哉君のそういうそっけない優しさ、アタシ嫌いじゃないよ…。
「ありが…」
「え?これは俺のモンだけど??」
「えっ!?せっかくお礼言おうと思ったのに~」
「絶対返さねーよ?これは俺のモンだから。」
「何でもするから!それは返して~っ」
「何でもする?」
「うん。」
「じゃあちょっと買いモンに付き合え。」
「え?今から??」
「ったりめーだろ。」
「だってアタシこれから部活…」
「良いからっ!」
アタシは強引に連れ出されて竜哉君と買い物に行く事になった。
それにしても…
竜哉君は何を買うつもりなんだろ…