トシシタカレシ。

~杏子side~

竜哉君に無理矢理連れられてやってきたのは駅前のアクセサリーショップだった。

ここはアタシも友達とよく来る場所。

だけど男子の竜哉君が何でここに…?


「おっ、これ良いな~」

「どれどれ…って、り、竜哉君!?」

竜哉君が持ってたのはピンクのクマのストラップだった。

「なんだよ。俺がこれ欲しがっちゃ悪いかよ?」

「い、いや…そうじゃなくて…」

正直、ピンクのクマを見てる竜哉君はいつもの強引な竜哉君じゃなくて…

何か可愛かった。

「そうじゃなくて…なんだよ??」

竜哉君は不機嫌そうな顔でアタシを睨んでくる。

「なんか可愛いなって思ってさ。」

「うっせーなぁー…」


アタシに可愛いって言われたあと、竜哉君はほっぺたを膨らましてたけど、そのうちにまた可愛いクマちゃんに目をキラキラ輝かせていた。

アタシは反応の面白い竜哉君をじーっと見てたら急に竜哉君に呼ばれた。


「木下っ!ちょっと来て!」

「なーに?」

「これ見ろよ!」


竜哉君が持ってたのはクマのペアキーホルダー。

クマの上にハートがくっついてて、2つをくっつけるとハートが出来上がるっていうヤツ。

ホントに竜哉君ってクマ好きなんだなぁ…


「可愛いね!これ!」

「だろー?じゃあこれ買ってくか!」

「アタシが買うよ!さっきキーホルダー拾ってもらっちゃったし…」

「いいの、俺が買ってくる。」

竜哉君はアタシからクマを奪って走ってレジに向かっていった。

竜哉君って意外にオトメンだったんだ…

いつもはぶきっらぼうで俺様なクセに。


でもアタシはそんな竜哉君のそういう意外な一面が好きだった。


「買ってきたぞ。」

「ありがとう!じゃあ早速バックに付けよっと♪」

「じゃ、俺も!」

「…なんかさ、カレカノみたいだね…。」

「だな。」

『アハハハっ!』


竜哉君とアタシはカレカノではない。

そう、ただの友達。

「手ぇ、繋ぐぞ。」

「良いよ!」


この微妙な関係、
悪くないなって思った。

< 44 / 49 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop