トシシタカレシ。
~杏子side~
竜哉君に無理矢理連れられてやってきたのは駅前のアクセサリーショップだった。
ここはアタシも友達とよく来る場所。
だけど男子の竜哉君が何でここに…?
「おっ、これ良いな~」
「どれどれ…って、り、竜哉君!?」
竜哉君が持ってたのはピンクのクマのストラップだった。
「なんだよ。俺がこれ欲しがっちゃ悪いかよ?」
「い、いや…そうじゃなくて…」
正直、ピンクのクマを見てる竜哉君はいつもの強引な竜哉君じゃなくて…
何か可愛かった。
「そうじゃなくて…なんだよ??」
竜哉君は不機嫌そうな顔でアタシを睨んでくる。
「なんか可愛いなって思ってさ。」
「うっせーなぁー…」
アタシに可愛いって言われたあと、竜哉君はほっぺたを膨らましてたけど、そのうちにまた可愛いクマちゃんに目をキラキラ輝かせていた。
アタシは反応の面白い竜哉君をじーっと見てたら急に竜哉君に呼ばれた。
「木下っ!ちょっと来て!」
「なーに?」
「これ見ろよ!」
竜哉君が持ってたのはクマのペアキーホルダー。
クマの上にハートがくっついてて、2つをくっつけるとハートが出来上がるっていうヤツ。
ホントに竜哉君ってクマ好きなんだなぁ…
「可愛いね!これ!」
「だろー?じゃあこれ買ってくか!」
「アタシが買うよ!さっきキーホルダー拾ってもらっちゃったし…」
「いいの、俺が買ってくる。」
竜哉君はアタシからクマを奪って走ってレジに向かっていった。
竜哉君って意外にオトメンだったんだ…
いつもはぶきっらぼうで俺様なクセに。
でもアタシはそんな竜哉君のそういう意外な一面が好きだった。
「買ってきたぞ。」
「ありがとう!じゃあ早速バックに付けよっと♪」
「じゃ、俺も!」
「…なんかさ、カレカノみたいだね…。」
「だな。」
『アハハハっ!』
竜哉君とアタシはカレカノではない。
そう、ただの友達。
「手ぇ、繋ぐぞ。」
「良いよ!」
この微妙な関係、
悪くないなって思った。