トシシタカレシ。
~杏子side~
あの後、竜哉君に家の近くまで送ってもらった。
竜哉君は本当に優しい。
アタシ、きっと竜哉君の事好きかもしんない。
あの人とならずっと笑って一緒に居られる、そう感じた。
神ちゃんの事はもう忘れよう…。
自分にそう言い聞かせるしかない。
だって新しい一歩を踏み出す、そう決めたもん…
ホントは今日、普通に装ってはいたけど、冷静にはなれなかった。
だって今の時点でどっちが好きだか、自分でも分からなくなってたから。
しかも最後にちゃんと話したのはあのメール。
アタシが切っちゃった、あのメール…。
神ちゃんはどんな気持ちでいたんだろう…
神ちゃんの優しさ、
たまに見せる男らしさ、
また思い出してしまった。
竜哉君も神ちゃんも好き、なんて事が絶対に許される訳が無い。
どうすれば良いの…
アタシはどっちが好きなの…
ちゃんとけじめをつけなきゃ行けないのは分かってる。
もう少しだけ、
もう少しだけ時間を下さい。
私に…。