先生にとって、
タッタッタ...
この時はまだ知らない。
アタシにとって、苦しくて儚すぎる
切ない恋が待っていることを。
「痛っ!」
「美羽!大丈夫?」
「イテテ…うん、なんとか☆」
「もぉ~、気をつけてよ!」
石にこけるとか…
天然すぎにもほどがあるわ!
まぁ、そんなところが
美羽の可愛いとこなんだけどね。
「柴崎さん?大丈夫?」
え…?誰??
「ん…先生!大丈夫です☆」
「ははっ、なら良かったよ」
塾の先生?
「気をつけろよ」
「はいっ」
「あれ?もしかして、村瀬さん?」
「あ、はい!お世話になります!」
「礼儀正しいね、こちらこそ」
人が良さそうな先生だなあ。
年は、うーん…30代かな。
「…結愛!見過ぎだよ(笑)」
「っあ!スイマセン…」
ついついじっくり見ちゃった。
なんか…不思議な感じがして。
「それじゃあ、中行こっか」
「「はーい」」
「あ、村瀬さん」
「はい?」
「…よろしくね」
なんだろう。
訳も分からない風が、アタシの体を
吹き抜けた。
「…結愛?センセ?早く行こっ」
「あ、うん!」
ねぇ、先生?
アタシたちの出会いは、この時だったんだね。
覚えてる?