紫陽花
はじまり




「クス。」


君の真っ赤になった顔を見て
可愛くて、綺麗で
そして何より愛しくて、
僕はつい笑ってしまった。


一生懸命になって気持ちを伝える
君を抱き寄せたのは
それから数秒もしないうちだった。


「僕も好きだよ。」



僕の腕の中にすっぽりはまる
君の小さな身体。


香る甘さに酔うような感覚に
のまれる。



ギュッ


「苦しいよ、奇羅。」


そういいながら照れる君。


「嬉しいくせに。」


「ーっ…」

ほら、また赤くなった。



そんな僕だけに見せる一つ一つの仕草が
愛しくてしょうがなかったんだ———。


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