紫陽花
「奇羅ーほっぺにごはんつぶついてるよっ」
まただ。
「とって。」
君が手を出してくる。
だけど僕はそれを拒んだ。
「口で。」
君は真っ赤になった。
それでも君は言わない。
頑固者。
唇を近づけようとして——
途中で止める。
「うっうそ「知ってる。」
そのままうなじをつかみ
引き寄せる。
重なる唇から漏れる君の吐息が、
嘘をつくときの
鼻の頭をかく癖が、
ぜんぶが愛しい。
そう、僕を狂わせるほどに。