アクアマリンの秘密【外伝】
* * *


「あの時、美風が笑ってくれたこと。
ボクはとってもとっても嬉しかったんだ。」

「わわわ私…笑いましたか?」

「え、覚えてないの?」

「おおお覚えてますっ…でもっ、桃依様の傷を治すのに集中しすぎてて…それ以外のことが朧げな記憶しか…。」

「えー!?ボクはこんなにこーんなに鮮明に覚えてるのに!?」

「ごごごごごめんなさいっ…!」


小さくシュンとうなだれる美風も可愛い。
なーんて、ボクは甘い。


「さて、白斗の部屋はあっちだったはずー…。
あ、いたいた。窓から入っちゃえ!はーくーとー!」


ボクは窓をノックした。
すると少し呆れた顔をした白斗がドアを開けてくれる。


「ドアは向こうだけど、桃依?」

「飛んできたからこっちの方が早くって。」

「見れば分かるけど。
それで今日の怪我人は美風ちゃん、かな?」

「うん。美風の右手。」

「美風ちゃん、どうぞ?」

「すすすすみませんっ…。」

「桃依の特別なお客様だからね。オレも傷一つ残さないようにしなくちゃ、だね?」

「頼むよー?白斗!」

「分かってます。」


白斗がボクをからかいたそうな目をしながらそう言った。


< 61 / 75 >

この作品をシェア

pagetop