失恋少女とヤンキーと時々お馬鹿
多分大雅に必要なのは高校数学ではなく、小学生の算数能力だな。
その日、みんなで課題をやっていたら時間はすでに六時を回っていた。
「入るわよん」
そう言っていきなりドアを開けた颯太母に、驚くのは亜美だけ。
――いつものことなのかな?
「今日、みんなご飯食べてくでしょ?」
その声に頷くヤンキーたち。
「あ、あたしはいいです、お気遣いありがとうございます」
やらなきゃならない仕事がたまってますので。
なんて言えないから丁重にお断わりしておいた。
とても残念そうな顔をされたし、
「別にあんたたちはいつもいるから居なくていいのに……」
という言葉までもらった。
「すいません……、」
「謝ることないわよ、いつでもいらっしゃい」
「はい……」
すごく嬉しかった。
颯太母が出ていった後、携帯が鳴った。
どうやら迎えが来たらしい。
「なんか来たみたいだから行くね。お邪魔しました」
そう言っていつも通り、みんなとバイバイをした。
夏休みも残り1週間。