失恋少女とヤンキーと時々お馬鹿
多忙少女
目が覚めて一番に気が付いたのは暗さ。
――まだ暗い
あんなに疲れていたのに、嘘みたいにはやく起きてしまった。
まだ寝たりない気がしてならない。
でも一度起きてしまった亜美は多分二度寝はできないだろうと起き上がることに決めた。
一度大きくあくびをしながら腕を高く上げる。
毎朝の習慣。
これをやらなければ起きた気がしない。
カーテンを開けてみればやはり空はまだ明けきってはいなかった。
「……やるか」
とりあえず朝ご飯を後にして、歯磨きと、顔を洗って…………。
そんなことを考えながら廊下を歩いていたら、後ろから佐伯さんの声が聞こえた。
「お早いですね」
「あぁ、おはよう」
寝起きのため若干かすれた声で挨拶をした。
「朝食はどうされますか?」
「父さんは?」
「おやすみでいらっしゃいます」
「そう、ならいいよ。父さんて久しぶりに一緒に食べるから」
「分かりました。そう伝えておきます」
「ありがとう」
そう言ってその場を去った。