失恋少女とヤンキーと時々お馬鹿



あたしは素早く、なおかつ簡単に支度をすませた。


そして……


「亜美さん、おきて……ますね」


「ノックしようか」


こいつ、レディの部屋に入るのにノックしなかったぞ。



起こしに来てくれた佐伯さんに勝った!



「おこちゃま……」


「聞こえてる」


「空耳では?」


こいつ……
どんだけあたしを馬鹿にしてんだろう。


「……今日は11時に予約してある美容院行ってなんかいろいろしてくる。父さんに何て言われてる?」


佐伯さんはたまに父さんが貸してくれる。


パーティーなどに行くときはとくに佐伯さん出動命令がたびたび。


「ついていけ……と、」


いつも通りだね。


それを聞いた亜美は、止める佐伯さんを無理に説得して、朝食は食べなかった。


ほんとにおなかがすいてなかったんだよ。





しばらくボーっとしていたら、あら不思議。いい時間。


亜美はドレスに着替えた。


薄いピンクのマーメイドラインの大人っぽいドレス。

メイクも髪も美容院でやってもらったほうが失敗が無いから無理にいじらない。




うん、完璧。




< 166 / 509 >

この作品をシェア

pagetop