失恋少女とヤンキーと時々お馬鹿
誰だって自分の命は惜しいもんだ。
車がゆっくり止まったのは綺麗な洋風の建物の門の前。
『どちら様ですか?』
「深瀬です。本日はお招きいただきましてありがとうございます」
『深瀬様ですね。門を開けますので、近くの係の者が案内いたします』
「分かりました」
会話が終了したと同時に、重たそうな音もさせず、軽く開いた門。
車をゆっくり発車させれば、すぐに燕尾服のお爺さんが見えた。
「本日はわざわざ起こしいただきましてありがとうございます」
「こちらこそ、お招きいただきありがとうございます」
「ではこちらへ」
彼に着いていき、車を止め、時計を確認したら、すでにお昼を少し過ぎていた。
「こちらで確認をさせていただきます。招待状はお持ちですか?」
亜美は小さなカバンから招待状を取り出した。
それを確認すると頭を下げた。
「ありがとうございます。ではこちらへ」
つれていかれたのは小さな部屋。
「少し狭いですが、深瀬様のお部屋になります。パーティーは長いですので、お疲れになられましたらこちらでおやすみになってください」