失恋少女とヤンキーと時々お馬鹿



「あんた、金持ちだったんだね」


「まぁな」


次男だから気楽に生きてます。とのことだ。


うん、見てれば分かる。


「お前こそ、本当にお嬢さんだったわけだ」


そういえば、出会ってすぐのころは、あたしのことは“お嬢さん”なんて呼んでたね。


「……だから、明日になれば分かるだったわけね」


昨日の大翔の言葉を思い出して、ようやく納得した。


昨日でいう“明日”は今日。そして、今、この場所のことを言っていたわけだ。


「ん、まぁそういうわけだ」


「じゃ、何で昨日言わなかったの?」


あたしは本当に不安だった。手帳がないってことがこんなにもあたしを不安にさせるなんて思いもしなかった。


「まぁ、その、言えなかったってか、言っても信じないだろ?」


「あぁ、」


納得した。うん、激しく納得。


多分気が動転していたあのときのあたしでも、大翔がお坊ちゃんなんて信じなかっただろうね。


「会ったほうがはやいかなって」


まだ実際そうだったわけですけど……




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