失恋少女とヤンキーと時々お馬鹿



そんなことより……


「中、見てないよね?」


「見てねぇよ」


ほんとに?


そう聞きたかったけど、目が真剣で嘘を吐いているようには見えなかったから聞けなかった。


「実は陽達も俺が金持ちの息子ってことは知ってんだけど、詳しくは言ってねぇんだよ」


驚いた。


だって、いつも一緒にいて、仲も良くて、お互いのことなら話さなくてもある程度は分かる!


とかいいそうなやつらなんだもん。


そんな奴らにも知らせてないなんて、意外すぎ。


「あいつらも、気ぃ使ってんのか知らねぇけど聞いてこないし」


まぁ、聞いてもどうしようもないとか思ってんのかもしんねぇけどな。


そう言って笑う大翔。


あたしには何も言うことなんてできないけど。


「そっか……」


「まぁ亜美に返事とか期待してないし。はじめから」


それはそれで傷つく。


「……亜美って」


「は?」


「大翔が亜美って呼んでくれた」


初めてじゃないだろうか?いや、あったかもしれない。


でも今気が付いたから、今のが初めてってことでいいや。




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