失恋少女とヤンキーと時々お馬鹿
突然こんにちは
「はぁー、やっぱ時間かかるわ。やっとついたし」
亜美が大翔と武に会った次の日、ある人物が空港に降り立った。
その人物は背伸びをしたあと、欠伸をした。
「電話したほうがいいんか?まぁいいや。あ、でも亜美にはしたほうがいいか?」
全部独り言だ。
答えてくれる声ははじめから期待していない。
「あー、めんどくさいな」
髪は金髪。
綺麗な顔。
スラッとした長い足。
切れ長の目。
イケメンの要素をすべて備えた男。
それが今日この空港に降り立った男の容姿だ。
「瑠伊さん。ここにいたんですか!もう!探しましたよ」
「悪い悪い。さぁ、帰るか。亜美と隆がまってるし」
「お父様を名前で呼ぶのは感心しませんね」
「はは、まぁこれがうち流ってことで」
軽く返したこの男の名前は、深瀬瑠伊。
深瀬家の長男で、亜美の双子の弟。
「深瀬瑠伊、ただいまアメリカから帰還いたしましたぁ」
誰に言うでもなく、瑠伊は笑顔でそう言った。