失恋少女とヤンキーと時々お馬鹿
ということで、来ちゃいました。
だがしかし。
今日はいかないということになっているであろうあたしがいきなり表れたらみんなびっくりしちゃうんじゃないだろうか?
もしエロ雑誌を見ていたら……あいつらなら焦らないな。
むしろ『俺は……』とか言って好みの話をされそうだ。
もし、喧嘩をしていたら。
きっと全力で守ってくれるだろう。『馬鹿は引っ込んでろ』とか罵声を浴びせながらも守ってくれるんだろうな。
「あれ?亜美ちゃん?」
なんて考えていたら上から声が聞こえてきた。
――優真君だ
上を見上げるば、いつもの溜り場ではなさそうなところから手を振っている優真君が見えた。
「久しぶりっ!」
あたしは優真君にむかって大きく手を振った。
「みんな待ってるよ!入ってきなよ」
「はいっ!」
どうやら優真君はやることがあるらしい。
もともと溜り場に全員が揃うことは稀だ。
誰かがいないっていうのは日常茶飯事。
そして、音楽室の扉の前に来たのはいいが、どうも入りにくい。