失恋少女とヤンキーと時々お馬鹿
「これは穴だ」
今までの行動が見られていたという恥ずかしさから、ついついどうでもいいことを言ってしまう。
「…………」
うつむいてしまうあたしに陽の影が重なった。
いつのまにかあたしの目の前にいる。
「まだシュークリーム買ってないから、これで我慢しろ」
そう言って、あたしを抱き締めた。
「えぇ?何事だよ!?」
なかばパニック。
陽の意味の分からない行動にどう対応したらいいかわからないあたし。
「久しぶりの亜美だぁ……」
耳元で聞こえてきた陽の安心しきった声に、不覚にもあたしも安心した。
「……みんなで、シュークリーム買ってこようか」
あたしの提案に、みんなが頷いてくれた。
「うめぇ」
近くのコンビニで人数分のシュークリームを買い、音楽室に戻ってきたら、そこには優真君がいた。
――これで全員
みんなでシュークリームを食べれば部屋には甘い匂いが立ちこめる。
ガタッ
その時、音がした。
「ハロー、亜美」
ドアからした声と、出てきた顔には明らかに見覚えがあった。
「瑠伊」