失恋少女とヤンキーと時々お馬鹿
結局あたしは佐伯さんが晩ご飯だと呼びに来るまで、ひたすら草むらに入りまくって、戦いまくって、レベルを上げまくった。
「亜美さ……いえ、私は何も見ていません」
佐伯さんにはあたしのあまりの剣幕に、いろいろと誤解をされたけど、そんなの気にしない。
「隆さんのお仕事が終わりましたので、呼びに来たのですが、今はお忙しそうだった、と伝えておきましょうか?」
「大丈夫です」
セーブをしっかりしたあたしは、いったん電源を切り、家族会議をするために、リビングに降りていった。
リビングにはすでに父も、瑠伊も座っていた。
「亜美、早く座れよ」
瑠伊が降りてきたあたしに気が付いて、手を振った。
こうやって見れば、瑠伊は普通の子供なのに……
「……んでさ、そいつ馬鹿でさ、ネイティブのくせに英語の早口言葉対決で俺に負けたんだぜ」
ぎゃはは、なんて笑う姿を見ればただの悪魔だ。
うん、かわいくはない。
「あー、アメリカは遊ぶだけ遊んだからそろそろ戻ってこようかな……?」
瑠伊がそう言ったのは、食事が終わり、お茶を飲んでいるときのことだった。