失恋少女とヤンキーと時々お馬鹿
それを思い出しただけで、あたしの体は一気に目覚める。
――ありがとう、からださん
君のおかげであたしは生きていけるんだ。
親友に半殺しにされないですむ。
あの時は本当に申し訳なかった。
親友の梓(あずさ)は小さめの体のわりに力が強い。
そんな梓に半殺しにされたとき、耐えてくれてありがとう。
とはいえ、いつもより布団から出るのがだいぶ遅れたため、遅刻ギリギリだし、
髪の毛ばさばさ。
メイクだってちゃんとしてない。
「あ!亜美。来ないかと思ってたよ」
笑顔が怖いよ。
「ば、馬鹿だなぁ、あたしが大好きな学校を休むはずがないじゃないかぁ!梓様にも会えるしね」
もう必死だよ。
「うん、よろしい。合格」
朝の挨拶はクリア。
こんなにも暴君な梓。
でも、あたしを一番よく分かってる。
「……なんかあった?」
ほら、まただ。
見破られた事に驚きもしなくなった。
「隠してもすぐに分かるよ。亜美のことなら」
あたしをあたしより知ってる。