失恋少女とヤンキーと時々お馬鹿
自分が大好きな母親を自分のせいで死んだと思ったら?
きっと亜美は自分を責めるだろう。
一生笑ってはくれないだろう。
愛する妻を失い、愛する娘から笑顔も失うのだろうか。
千佳が命をかけて守った命。
これからは俺が命をかけて守り通さなければならない。
『……っん』
『亜美?』
一度寝返りをうったあと、亜美は体をゆっくり動かした。
『大丈夫か?』
ひきつる笑顔がばれませんように。
『あたし、なんでこ、んな怪我してる、の?』
途切れ途切れで紡いだ言葉になんて返せばいいのか分からない。
『それは……』
亜美がどれだけのことを覚えているのか分からない状況で下手なことは言えない。
『おかあさんは?』
その言葉にまた詰まる。
――――死んだ
というのをこの子にどう伝えればいいのか分からなかった。