失恋少女とヤンキーと時々お馬鹿
話をしていた人に場所を聞こうと思ったときにはもうその人たちはいなくなっていて、亜美は自力で探すしかなかった。
なんとなく感じろ!
直感はいい方なんだよね。とかいうと外すから言わない。
そのとき視界のはしっこで急ぐように走る人を見かけた。
咄嗟についていこう!と思った亜美は急いでその後を追った。
ついた場所は普通の教室。
だけどそこには異様なほどの人だかり。
それと聞こえてくる笑い声。
――優真君?
その声が優真君っぽくてなおさら嫌になる。
人込みをかきわけて前に出てみれば、見えたのは修羅場。
普段見せない下品そうな笑顔を顔に張りつけた優真君と無表情の陽、颯太、大翔、大雅だった。
亜美は何が起こっているのかさっぱりわからなかった。
「……優真」
陽の悲しそうな声が教室に響く。
「なぁ、俺を止めてくれよ」
何にキレたのかわからない。
でも優真君が悩んでいるのは分かり切った事だった。
「……止めてやるよ」
陽が一歩前に出て、あとの3人は一歩下がった。