失恋少女とヤンキーと時々お馬鹿



翌日、結局あたしは冷静になって、Tシャツにジャージ。


それに加え、キャップという、なんとも普通の格好で公園に行くことにした。



だって、冷静になってみたら、“笑われるだけ”だって気が付いたんだもん。







「亜美ちゃん!」



公園につくと、優真君の声があたしを呼んだ。



そこに駆け寄ると、衣裳を着た優真君。




「…………何の劇するの?」



いや、何となくわかるよ。その赤い頭巾と、赤いロングスカート。



分かるよ。でも分かりたくない自分がいる。



「赤ずきんに決まってるじゃん!見て分かんなかった?あ、もしかさて赤ずきん知らない?」



「知ってるよ!」


赤ずきんくらい知ってるよ。ってか予想が当たってしまったことがショックで仕方ない。


「……赤ずきん役?」


「まぁね!かわいいでしょ?」


かわいいわけねぇだろ。


「なんていうか……、その、いい感じだね!」


ほかに誉め言葉が見つかりませんでした。


「とにかく見てってよ!みんな出るから」


「え?陽たちも出るの?」


「うん」


冗談はその格好だけにしてくれ。

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