失恋少女とヤンキーと時々お馬鹿



亜美は乾いた笑い、しかも苦笑いしか返せなかった。



みんなで仲良く赤ずきん……………………だめだ、想像できない。





「昔昔あるところにおじいさんとおばあさんがいました」



はいストップ!


赤ずきんは一番最初の段階ではおじいさんもおばあさんも出てきません!



ってか始まったのか?



いつの間に……。


亜美の突っ込みなんて聞こえていないように話は始まってしまった。



「大翔だ……」



あとからナレーションの声が大翔であることに気が付いた。


「……川からどんぶらこどんと赤い物体が流れてきました」



赤ずきんだよね?

そうだよね?



これは桃太郎パターンだぞ!



「なーんてね。ここまでは冗談です」


カッチーン。


よし、この脚本を書いた奴をここに呼べ。あたしが張り倒してやる。


「赤ずきんは森に住んでいるおばあさんにパンや果物を持っていって、とお母さんに頼まれました」


そこで出てきた赤ずきんこと、優真君。


はいかわいくなーい。


「行ってきます」


「可愛くない割に演技がうまい件」


あたしは1人で呟く。

< 268 / 509 >

この作品をシェア

pagetop