失恋少女とヤンキーと時々お馬鹿
亜美の消したかった記憶
まぁ言ってしまえばこれが間違いだったんだ。
あのとき素直に……は無理だけど、大雅と平和協定を結んでおけば……。
まぁ過去はどうしようもできないけどね。
「陽が怒ったね」
「あんまり怒らないからな。ってか多分あれは俺らに怒ったんじゃねーぞ」
まじか!
「何にあんな怒ってんの?」
「ただ、陽の手持ちのシュークリーム切れで、イライラしてただけだ」
うわっ。
いい迷惑。
大雅は馬鹿だから、さっきの喧嘩はもう無かったことのように話してる。
単純なのか、優しいのか……、優しいわけないか。
「テメェ、また口に出てんぞ」
「あらごめん」
道端で言い争いをする間抜けな高校生2人。
今隣に優真君がいてもきっと他人のふりをするだろう。
それくらい今の2人は恥ずかしい。
道の端でコソコソと噂話のように眉間にしわを寄せてこちらを見るおばさんたちが目に入る。
あの目。
あの目が大雅や、陽たちを見ている目なのかと思うとなぜか無性にむかついた。
何も知らないくせにって。