失恋少女とヤンキーと時々お馬鹿



亜美になんて言葉をかけたらいいかわからなかった。


こういうとき、陽ならなんて言うんだろう。



そんなことを考えるのは自分らしくないとわかっていても、今亜美にかける言葉が見つからないのが現実。


“過去も今も含めて守る”と言った陽ならきっとこんなことで悩まないんだろうけど。




亜美はおぼつかない足取りでも一応ちゃんとついてきていた。



コンビニについて、シュークリーム買って……。


亜美が少し離れている間に、陽に電話して、瑠伊を音楽室に呼ぶように言っといた。


詳しいことは時間がなくて言えなかったけど、大雅の雰囲気は感じとってくれたのか、ふざける様子もなく、了承してくれた。


「亜美、帰ろう」


いつもなら“帰るぞ”って言う。


でも今日は、ちょっと優しく。










俺だって、亜美の悲しい顔なんて見たくない。







頼むから思い出さないでくれよ。



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