失恋少女とヤンキーと時々お馬鹿



音楽室につくまで亜美はずっと不安そうな顔をしていた。



大雅はただ亜美の手を握りしめ、引っ張ることしかできなかった。


「……瑠伊は?」


俺じゃだめだ。


そんなこと言いたくないけど、そう言いたくなるくらいどうしようもない状況だった。


不安そうな顔を崩さない亜美。


「亜美……」


瑠伊も悲しそうな顔をしている。


「下に佐伯が来てる。先帰ってて」


瑠伊の優しい言葉にも特に反応を見せなかった。


無言で音楽室を出ていった。







ガタンッと椅子が倒れた音がした。



その次は首の苦しさを感じた。



「説明しろ」


大雅の服を掴み、すごく悔しそうな顔をした瑠伊がいた。




大雅は瑠伊のその顔を見てただ、漠然と先ほどの出来事を話した。




今の大雅にはそれ位しかできなかった。




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