失恋少女とヤンキーと時々お馬鹿



陽の言ってる事はみんな理解できてる。


「しかもあいつが亜美を傷つけるために使った手段は最低で最悪だ」


秀が使った手段は確かに汚い。
亜美の思い出したくない過去を勝手に暴露して……。


「許せない」


「んじゃボコボコにする?」


颯太が何でもないことのように言う。


「いや、それはダメだ。亜美が喜ばない」


陽はいつでめ亜美のことを第一に考えている。


「復讐とか、あいつは考えねぇし、喜ばねぇよ。だからやらない。全部無視する」


「は?」


無視するという意味のわからない陽の言葉に、みんな首をかしげる。


「つまり、あーいう奴は無視されるのが一番の苦痛なんだよ」


確かに。


確かにそうなんだけど、亜美を傷つけたやつを前にしたとき、はたして自分達は平静を保ち、さらに相手を無視することなんてできるのか。




多分できない。




殴りたくなる。


ボコボコにして、亜美が傷ついたのと同じくらい……いや、もっとあいつを傷つけたくなる。




それでわかればいいんだ。


亜美がどれほど大切な存在か。




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