失恋少女とヤンキーと時々お馬鹿



「いいか、これからあいつが俺たちの前に現われても、いないものとしろ」


それは、彼の存在を消してしまうということ。


「んじゃ俺は帰る」


きっと誰よりも悔しいのに、陽は小さく笑って音楽室を出ていった。






「くそっ」


悔しくて悔しくてたまらない。


あんだけ瑠伊に大口叩いといて、亜美を守れなかった。


金井武なら、瑠伊なら……そう思うと止まらなくなる。


きっと一番秀を殴りたいのは陽だ。


いつの間にか自分の中で大きな存在になっていた亜美。


大事で、一緒にいるのが楽しくて。


そんな大好きな亜美から笑顔を奪おうとしているあいつが許せなかった。


亜美はあほなままがいい。


きっとみんな思ってる。


大雅も大翔も優真も颯太も武も瑠伊も佐々木も。



亜美のまわりにいるやつはみんなありのままの亜美が好きなはずだ。


それを奪った柊秀はもちろん許せないし、それから亜美を守れなかった自分も許せなかった。





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