失恋少女とヤンキーと時々お馬鹿



でも、それでも、ドアは開けられなかった。


「開けなくていいんです。だから、聞いてください」


あまり長く一緒にいたわけじゃないのに、佐伯さんは亜美のことをよく知っていた。


無理をさせれば、それに無理矢理応えようとしてくれることも分かっていた。


「私は亜美さんの味方です……と以前に言いませんでしたか?」


……、振り返ってみる。


だが残念ながら覚えてない。


「言ってなかったかもしれませんが、言ったかもしれません」


どっちだよ!


「でもこれは言いました。私はアホで元気な亜美さんでなければそれは亜美さんではありません、と」


うん、ごめん。覚えてない。


「あれ?言いましたっけ?」


知りません。


「まぁ今言いました」


この人最低だ。


「とにかく、何があっても、亜美さんには私という味方がいます。隆さんも、瑠伊さんも、みんなあなたの味方です」


父さんも、瑠伊も……?


「亜美さんは瑠伊さんのためならなんでもするでしょう?それと同じです」


私も力になりたいんです。


佐伯さんの言葉に、知らないうちに涙が溢れていた。



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