失恋少女とヤンキーと時々お馬鹿



……なんか、変な感じ。


幼なじみの中に、大翔がいるってことが、しっくりこない。


「そういえばお前、化粧濃くない?」


「悪かったな、濃くて」


余計なお世話だ。


さすがに大翔には言えなかった。


寝不足でできた隈を隠すために化粧が濃くなったなんて。


「まぁ、なんとなく予想できるから、深くはきかないけどね」


「……そっか」


なんていうか、大翔に隠し事って通じないんだなぁ。


こんなときにそんな事を思い知るなんて、不本意極まりない。


「まぁ、食おうぜ。陽が出すシュークリームの何倍もうまいぞ」


「陽がしったら怒るよ?」


あの方、よくわからないところで怒るからなぁ。


「まぁ気にすんな。俺がぶちのめす」


やめろ。


「まぁ、食べようか」


笑う大翔を置き去りにして、ひたすら食べ続ける春の元に行った。


「あんた、どんだけ食べるんだよ」


「腹がふくれるまで」


あんたのブラックホールのような胃袋はきっといつまでたってもふくれない。


「春に全部食べられてしまう」


激しい危機感を感じて亜美は食事に集中することにした。



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