失恋少女とヤンキーと時々お馬鹿
どれくらい時間が立っただろう。
……まぁ時計をみればパーティー?宴会?が始まってから三時間がたっているのは一目瞭然だが。
そんなとき、春がネクタイをせっせとつけはじめた。
こりゃ、なんかあるな。
そんな春の様子を見て、早紀も振る舞いを上品に戻す。
“トントン”
みんなの準備が完了したのと同時に、部屋をノックする音が聞こえた。
「失礼します」
入ってきたのは、佐伯を含めた、春、早紀のお付きの人。
――あぁ、そういうことか
春がいきなりネクタイを締めはじめたのはこの人達の気配を感じたからか。
鋭すぎる。
「篠島さん、早いですね」
「時間厳守ですから」
篠島と呼ばれた早紀のお付きの人の言葉に早紀は苦笑い。
「春様、お帰りの時間です」
「分かってる。俺はこれで失礼する。料理もうまかった。ご馳走様」
「あぁ、」
急な他人行儀。
この空間に、“私達でない誰か”が入り込んだとたん、そこは違う空間になる。
「私もこれで失礼いたします。また誘ってください」
一礼して笑顔で去っていった早紀。
また私たちの空間が壊れた。