失恋少女とヤンキーと時々お馬鹿



大人になればなるほど、私達の空間というものが作りにくくなってくる。


それは仕方の無いことだ。


だから武がこうやってたまにパーティーを開いてくれる。


いつもの自分に戻れるからこそ、別れがつらい。


他人行儀になる幼なじみをみると窮屈に感じる。


でも同時に、“こういう世界”であることも思い知る。


「亜美さん、私達もそろそろ……」


「分かってるわ」


結局人の家では亜美も猫を被ることになる。


「ご馳走様でした。料理美味しかったです。よろしかったらまた誘ってください」


「それはよかった。またいつでもいらしてください」


武までもが他人行儀になる。


いつでも私達はこうやってきた。


この対応は身を守るために覚えた自己防衛。



亜美は、佐伯について、部屋を後にした。





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