失恋少女とヤンキーと時々お馬鹿



放課後にはいつも梓のバイトの時間まで教室でお喋りするのが日課だ。



「―――でさ、…………なんだよ?ありえないよね」



昨日見たテレビの話とか、好きな芸能人の話とか。


どれだけ話してもなかなか話題が尽きないのが女の子だ。



「ありえないのはあんた」


たまにこういう突っ込みをいただく。


ありがたく受け取っておかないと、倍になって返ってくる。



恐ろしい……




「そろそろ時間だから、バイバイ」


「うん、バイバイ」



特に意味なんかないけど、あたしは梓が教室をでてから数分たってから立ち上がった。




玄関から出てみれば人だかり。





いやな予感…………


いや、気のせいだよな。


ちらっとこっち見たやつが、大翔に見えたのは気のせいだよな。


うんそうだ。絶対そうだ。





「……おい、亜美」





他人のフリ。





< 31 / 509 >

この作品をシェア

pagetop