失恋少女とヤンキーと時々お馬鹿
頼りない愛
普段なら、普段の大翔ならこれくらい気にしていなかった。
でも、なぜか今日は辛かった。
今、あいつらにあったら、俺はどうしようもないこの怒りを、何の罪もないあいつらにぶつけてしまう。
それは避けたかった。
大翔はベッドに倒れこんだまま、携帯に手を伸ばした。
『……もしもし?』
「陽?悪いんだけどしばらく俺学校休むからエガちゃんに言っといて」
エガちゃんとは彼らの担任だ。
『……そっか、まかしとけ。あと、無理すんなよ』
「……うっせ」
陽に心配されてしまった。
大翔は小さく暴言を吐いて、電話を切った。
陽は大翔の兄のことを知らない。
言う気もない。
余計な心配を掛けるだけだから。
携帯を閉じた大翔はベッドに丸くなり眠るために目を閉じた。
目が覚めたとき、全部なくなってればいい、
そう思いながら。