失恋少女とヤンキーと時々お馬鹿
元気になった亜美は今日も妄想絶好調です。
鼻歌を歌いながら、陽たちの学校に向ってスキップする。
もう他校であることなんか忘れている。
「ヤッホー!みんな大好き亜美ちゃん参上!」
部屋にいた全員がチラリと亜美を一瞥しただけで何事も無かったかのように視線を戻した。
「ちょいちょいちょい。あんたら全員無視ですか!」
無視したことに不満を唱えれば、
「おい陽、なんか変な声が聞こえるんだけど」
「奇遇だな、大雅、俺も聞こえた」
そこで亜美はピーンときましたよ!
「あんたたち二人は霊感があったのか!」
「ちげぇよ!おまえのことだよ」
「大雅……、あたし生きてるよ」
「めんどくせぇ、馬鹿」
めんどくさいと言われた上に馬鹿と言われました。……少なくともあんたよりは頭いいよ。
「大雅!てめぇ亜美に向って馬鹿はなんだ!亜美はなぁ、ちょっと頭がおかしいだけなんだ!」
……ごめを、颯太君、フォローになってないよ。
あぁ、君はどうしてちょっとズレてんの?
そこでようやく一人いないことに気が付いた。
「あれ?大翔がいない……」