失恋少女とヤンキーと時々お馬鹿



いつもなら黙って見守ったり、たった一言であたしのココロをズタズタにする天才の大翔がいないのだ。


「あいつなら休み」


答えてくれたのは陽。


「あいつ、パーティーとか行ってんの?」


あたしは、“まじうまいもん食ってんだろうなあ”とかそういう答えを期待してたのに、返事すら返ってこなかった。


その代わり、気まずい空気は作り出した。


「……え?なんかダメだった?」


もしかして風邪とか?

何か深刻な病気とかだったりするの?


だから、そんなに悲しそうな顔するの?


「……亜美、お前、大翔の兄ちゃんに会ったことあるか?」


大翔の兄ちゃん……。


陽の言葉であたしは思い出してみた。


「……うん、あるね。一回だけ。でも挨拶程度の会話しかしてない気がする」


「そうか……」


今の流れ的に、大翔の欠席とその兄ちゃんとやらが関わっているのはほぼ確実だ。


「ねぇ、何があったの?」


聞かずにはいられなかった。


もし大翔が苦しんでいるなら、あたしが助けてあげたいって思ったから。


あたしにしか出来ない事もあるはずなの。

だから……、教えて。

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