失恋少女とヤンキーと時々お馬鹿
知りたいのに、陽は何かを考えるように黙ってしまった。
「……何なの?」
あたしは黙って待ってられるようなおとなしい性格してないから、先を急いじゃう。
「あいつは、俺らは何も知らないと思ってるんだよ。それであいつも隠してるつもりなんだよ」
詳しいことはわからないのに、そんな前置きなんていらないから。
「あいつんちが金持ちなのは知ってるだろ?あと次男なのも」
「うん」
それはしっていた。
前に会った時に聞いていたことだし、兄には会ったこともある。
「その兄貴の事があいつは大好きなんだよ。なのに、あいつは嫌いになりたいんだ」
「は?意味わかんない」
陽の説明じゃよく分からなかった。
「あいつの兄貴は昔はいい人だったんだよ。でも会社を継いで、責任感に押し潰されそうになって、兄貴は変わったんだよ」
「優しかったのに、人との関係を全部損得だけで考えるようになった」
陽の足りない説明を補うように颯太が口を開いた。
「なにそれ」
やっぱりあたしには理解出来ないみたいだ。