失恋少女とヤンキーと時々お馬鹿



その日、大翔は授業をサボってお昼すぎから音楽室にいた。


そこに遠くから自分の名前を呼ばれているのを聞いた。


そして―――


バァァン!


音楽室のドアを勢いよくあけて、大雅が入ってきた。


「大翔!!!」


「……なんだよ、いきなり」


大雅の焦りようは異常だった。


「陽が!……っとにかく来てくれ!暴れてんだ!」


大翔は最後まで聞かず席を立った。


「っ、案内しろ」


2人で音楽室から出て、大雅について、全力で走る。






ドォォン!



机が倒れる音がする。


そして、


「や、やめてく、れっ!」


焦った声。


――これはやばい


大翔は大雅を抜かし、音のする教室に勢いよく飛び込んだ。







そこには、倒れまくった机や椅子。


そして一方的に普通の生徒を殴る陽。


颯太と優真が止めようとしているがブチ切れしている陽はとまらない。



大翔は一瞬体が強ばった。


――止めなきゃ


頭では分かっている。
なのに動かない。


――コワイ


初めて陽を怖いと思った。


陽の目は何も見てない。


殴っている生徒すら。
< 349 / 509 >

この作品をシェア

pagetop