失恋少女とヤンキーと時々お馬鹿
「俺はいつだって陽の友達だ。だから、ちゃんと喧嘩しよう」
友達だからこそ、言わなきゃいけないことがある。
やらなきゃいけないことがある。
「ここじゃ、みんなに迷惑かけるだけだから。だから、外出ろ」
颯太の顔が険しい。
どう見ても賛成してはいない。
「……いいぜ。大翔と喧嘩できるなら、どこでもいい」
そう言うと、陽は先に出ていった。
それを見てから大翔は教室を見た。
机と椅子がたくさん倒れてて、みんな教室の隅で怖いものを見た後のように怯えた表情をしている。
こんな状況を作ったのが陽だなんて信じたくない。
「……わりぃな、みんな。迷惑かけて。片付けにこいつら残していくから。あと、そこの奴は……俺が病院に連絡入れとく」
陽に殴られて気を失っている人。
彼は斎藤家がよくつかう病院に搬送させてもらう。
「……なら、ちょっくら行って来ます」
返事は返ってこなかった。
颯太からも優真からも大雅からも。
それは紛れもなく、この状況をよく思ってない証拠だ。
でも、大翔は自分の意見を曲げようなんてこれっぽっちも思わなかった。