失恋少女とヤンキーと時々お馬鹿
大翔と陽
大翔が陽に出会ったのは二人が中学二年の秋だった。
その頃、大翔は荒れていた。
家庭が……兄があんなふうに大翔にかかわるすべてにいい顔をしなくなり、損得で人と関わるようになった兄を見て、大翔は“こんなもんか”とすべてを諦めていた。
髪も染めた。
ピアスの穴も増えた。
酒も飲んだ。
タバコも吸った。好きにはなれなかったから、一回でやめたけど。
善悪の区別のつかない友達もどきができた。
学校で何かあれば全部大翔のせいにされ、全部被った。
落ちてたタバコも大翔のもの。
電車をタダ乗りしたのも大翔のせい。
カツアゲだって大翔のせい。
全部大翔のせい。
もうやけになっつた。
『いいよ。俺ってことで。今回はどんだけ休めばいいの?あ、もしかして退学?まぁ義務教育だからそれはいか』
バカみたいに諦めてた。
どうせ俺なんか。
誰も信じちゃくれない。
否定するのもめんどくさくなるほど、俺は全部を諦めていた。
毎日喧嘩して。
今思えばほんとにバカだった。