失恋少女とヤンキーと時々お馬鹿
雨が降った日だった。
俺はいつものように家でぼーっとしていた。
外に出れば何かとめんどくさいことが起きる。
喧嘩を売られ、買わなければいいものを、ついつい買う。
大抵は勝つけど、おわった後には何も残らない。
むしろ喧嘩は何かを奪っていく。
俺から何かを。
だから、俺はあまり外に出なくなっていた。
どうせ義務教育だ。行かなくたって卒業はできるし、家は幸いにも金持ち。
勉強が必要なら家庭教師でもなんでも雇える。
甘い考えなのはわかっていたけど、あの頃はそれくらい、と思っていた。
ブーブーブー
音すらも目障りで、マナーモードにしていた携帯が震えた。
3回で切れたから、メール。
大翔は重たい体を無理矢理動かして携帯を開いた。
『河川敷で待ってる』
昔、喧嘩を買って、返り打ちにした奴から届いたいきなりのメール。
『何でアド知ってんだよ……』
こんなふうにメールをしてくるということは、相手は準備万端ってことは目に見えてた。
行くわけ無いじゃん
俺は、そのメールを無視することにした。