失恋少女とヤンキーと時々お馬鹿



それがすごく気に食わなかった。



陽の言った通りになったことが。



「俺の言った通りだろ?」


唇の端を持ち上げて綺麗に笑う、そいつはいらつくほどに美しい。



完璧な容姿。



まるで人形みたい。




座っていたのに、わざわざ立ち上がる。


昨日のことがあるからあたしは反射で身構える。



「今日はなんもしねーよ」


今日“は”ってなんだよ。




近づいてくるそいつを見て改めて思った。










でかい








「あんた、でかいよ。電柱みたい」






昨日と同じでまた陽の足が止まる。




そしてさっきみたいな唇の端を持ち上げて綺麗に笑うのではなく、




無邪気に笑った。





――普通に笑えんじゃん





なぜかあたしは安心した。



人形みたい、




だけど、陽は紛れもなく人間だった。




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