失恋少女とヤンキーと時々お馬鹿
さっきも言ったかもしれないが、この時の俺は本当にバカだった。
向かってくる相手に、人数的に勝てるわけ無いのに、微笑みかけていた。
相手はそんなことお構いなしに、どんどん近づいてくる。
――馬鹿だなぁ
俺は、武器もなしに、正々堂々と拳で向かってくる相手にたいしてそんなことを思っていた。
――素手なら、
簡単にヤられてなんかやらない。
『俺を、ぼこぼこにしてみろよ!』
俺の一発で沈んでいく奴らに嫌気がさしていた。
殴っても減ったような気がしない。
俺は、何発か殴られながらも、15人相手に勝ってしまった。
勝ちたくなんかなかったのに……
雨のせいで体はかなり冷えている。
そんなこと気になんかなからかったし、むしろ濡れていたいとも思った。
あいつらが去った後、俺はその場に寝転がった。
目に雨が入るから目は閉じる。
『くだらねぇ――』
そんなこと、前からわかってる。
兄への反抗も、逃げるように喧嘩することも、金持ちの家への反発も。
全部無駄で、くだらないことであることなんて。
『おい!』