失恋少女とヤンキーと時々お馬鹿



ってか何でこいつはシュークリームを探してんだ?


『なぁ、寒くない?』


確かに。


長い間雨に打たれた俺の体はかなり冷えていた。


『俺…………』


名前も知らないそいつは俺に何かを言おうとした。


でもやめた。


そしてさっきまでの表情とは全然違う険しい顔をした。


『テメェら……』


そいつの鋭い目線の先にいたのはさっきとは違う、俺がぼこぼこにしたやつ。


『明らかに戦闘態勢だな』


『さっさと逃げとけ』


みるからに俺の横にいる奴も不良。


けどなんとなく巻き込みたくなくて、俺は逃げるように言った。


『面白そうだからみてようかな?』


『はぁ?ふざけんな!さっさとどっか行け!』


あまりにもびっくりしたもんだから、ついつい声が大きくなる。


『なんなら俺がやろうか?』


『はぁ?何でテメェがやんだよ!』


『だってお前、喧嘩嫌いそうだから』


『!?』


びっくりした。


喧嘩が嫌いそうに見えるなんて初めて言われた。


まぁ、好きそうって言われたこともないけど。


『っ、テメェに何がわかんだよ!』


もうやけくそで叫んだ。
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