失恋少女とヤンキーと時々お馬鹿
『わかるわけねぇよ。だから、俺はそう見えるっていう俺の意見を言っただけだし』
正論だ。だからこそ、俺は言葉に詰まった。
『で、どうなの?喧嘩、嫌いなの?好きなの?俺はお前のこと知らないから教えてよ』
アホか。
同じ台詞を美少女から言われたなら嬉しいかもしれないけど、男のお前に言われても……な。
『ってか、来てるけど?』
そいつが向いたほうに目を向ければ、確かに相手はどんどん近づいてきている。
『めんどくせぇ……。俺だってこんなめんどくさいこと、いつだってお断わりだよ』
でも仕方ねぇだろ。
俺が憎いと思ってる奴がいるんだから。
『なら、やめとけ。俺が終わらせてやる』
『は?お前が?』
シュークリーム探してたお前が?
申し訳ないけど、お前、頼りない。
『まぁ、見とけって』
そう言って、そいつは俺の前に立った。
悔しいけど、そいつの背中みてると少し安心した。
こういうのを“かっこいい”っていうんだろうなぁ。
俺は向かってくる相手と、俺の代わりに相手と対峙しているシュークリーム男を見ながら、そんなことを考えていた。