失恋少女とヤンキーと時々お馬鹿
笑顔の記憶
『どうしたらいいのかわかんないの』
亜美から出た弱気な、消えそうな声。
「あたしは、みんなにとってどんな存在なんだろうって……」
いらない存在なんじゃないだろうか。
いてもいなくても同じ存在なんじゃないだろうか。
考えれば考えるほど、わからなくなるの。
「お前に言ったことないかもしんないけど、俺ははじめからお前がお嬢様なのは知ってた」
「え……」
全ては、あの日に始まったんだ。
「ぶつかったとき、お前の顔見て本気でビビった。お前がよく一緒にいるようになっても、俺はいつかこうなるんじゃないかって思ってた」
「そっか…」
わかってたんだ。
「お前が最近おかしかったのに気が付いてんのは陽だけじゃない。優真だって言ってた。“最近亜美ちゃんの言葉が全部バイバイに聞こえる”って」
嘘っ。
「大雅だって、“あいつ、最近元気ねぇよな。ラーメンでも連れていこうかな?”って言ってた」
嘘だ。
「颯太は“亜美が居なくなりそうだ”って言ってた」
嘘だ。だって誰もあたしの笑顔の嘘を見破った人なんかいないのに。
何であんたたちは……。