失恋少女とヤンキーと時々お馬鹿
武から言われた言葉は、不思議とあたしの心にストンと落ち着いた。
――あぁ、あたしは知ってたのに
知っていながらも、知らないフリをして、自分の心を誤魔化してきた。
「いきなりアメリカとか言いだしたのも、ただ戸惑っただけだろ」
「それは違う……と思う」
自信はないが、留学と陽は関係ない。
「亜美、」
ビックリした。
武があたしを呼ぶその声がとても優しく、心地よいものだったから。
「亜美は何でも抱え込みすぎだ。1人で全部する必要なんてない。春が、早紀が、俺がいる」
力強く、昔とは違う、“男”の武がそこにはいた。
「俺がこの礼儀とかばっかの堅苦しい世界に人一倍早く入ったのは将来亜美の力になるためだ」
「え、」
「俺はただ亜美が頼れる男になりたかったんだよ」
初めて聞いた真実。
「だから、お前は俺に頼らなきゃ意味無いんだよ」
意味の分からない理屈でもすごく嬉しかった。
あたしをこんなにも大事にしてくれる人が近くにいたことに。
ただ感動した。