失恋少女とヤンキーと時々お馬鹿
「それ聞いて、余計にアメリカ行きたくなった」
武には頼ってばっかりだった。
だからこそ、あたしは立派にならなきゃいけない。
「武には頼ってばっかりだったから今度は、あたしが武に頼られるような人になりたい」
そんな昔からあたしのことを考えていた武。
時を戻すことは出来ないのだから、今を生きるしかないのだから、あたしは今を無駄にしたくない。
「春には、春らしい応援をしてくれた。早紀は早紀の匂いのするお守りをくれた」
野菜を食べる手が完璧に止まった。
「俺は別に何もないぞ」
「そのそっけない態度もあたしには応援に聞こえます」
「頭おかしいんじゃねーの?」
ごもっとも。
言い返す言葉はないが、武の顔が少し綻んだ。
「とりあえず昼食おうぜ」
「そうだね」
今はこの時間を大事にしよう。