失恋少女とヤンキーと時々お馬鹿



「それ聞いて、余計にアメリカ行きたくなった」


武には頼ってばっかりだった。


だからこそ、あたしは立派にならなきゃいけない。


「武には頼ってばっかりだったから今度は、あたしが武に頼られるような人になりたい」


そんな昔からあたしのことを考えていた武。


時を戻すことは出来ないのだから、今を生きるしかないのだから、あたしは今を無駄にしたくない。


「春には、春らしい応援をしてくれた。早紀は早紀の匂いのするお守りをくれた」


野菜を食べる手が完璧に止まった。


「俺は別に何もないぞ」


「そのそっけない態度もあたしには応援に聞こえます」


「頭おかしいんじゃねーの?」


ごもっとも。


言い返す言葉はないが、武の顔が少し綻んだ。


「とりあえず昼食おうぜ」


「そうだね」


今はこの時間を大事にしよう。







< 396 / 509 >

この作品をシェア

pagetop